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2017/09/21 19:20 |
道化師が見た終焉
隣り合わせの向こう側に、いつだって落ちかけている


(*SS注意)


カタカタカタ。
揺れる、振れる、ブレる。
何だこれ。なんだ、これ。

意識の外で手が震える。
眩暈にも似た相変わらずの世界の揺れは、なんだか常より随分とひどい。
ぐらぐら、カタカタ。
気付いたら何かに脅えるように全身が震えていた。
手にしていたカレンダーを取り落とす。
11月12月1月2月。ばさり、めくれていくページになぜか震えが大きくなる。
おかしいおかしい絶対おかしい。
耐え切れずにうずくまって頭を抱える。額を膝につけて、強く眼を閉じた。

ああそうか、怖いのか。

もうすぐ、全てに終わりが来る。数か月なんて、あっと言う間に過ぎていく。
金銭援助だなんて、言葉にしてしまえばあまりに情緒が無い即物的な繋がりだけが、
今までただ1つ世界と繋がっていると感じられる絆だった。
それが、切れる。
もう二度と会いに来ないで、と。何度も何度も瞼の裏に再生される別れのワンシーン。
まだ中学生だった頃の自分がそれを何より鮮明に記憶したのは、ショックだったからでは無く、母が此方の目を見て話しかけてくれたことが心から嬉しかったからだ。
きっとその思いは、その記憶が褪せることも悲しみに変わることも無い今も同じで。
希望も夢も過去も未来も、全てあの家と共にあった。
絆が切れるということは、それら全てが消えるということだった。

そのあと、全てを失った後で生きていける気はしない。
真っ当に明るく生きていくことの出来る自分を想像することが出来ない。

居場所はあるのか。帰る場所は、行く場所は。
いろんな所を旅してきたのに、問いの答えが見つからない。

一人でしか生きていけない。一人でなんて生きていけない。
ああ、それでも。
死ぬ勇気が無いばかりに、無様にも自分は生き続けなければならないのだろう。
こびりついた笑顔の仮面で、表ばかりを取り繕って。
このまま、報われぬ想いの底を、這いずるように。

あれ。なんだよ、ずっとひとりぼっちなのか。
ふと自分が一人でいる姿しか思い浮かべられずにいることに改めて気付き、
浮かんだ考えがあまりに現実味がありすぎて、かなしくて笑った。
そういう時は泣くものだと以前誰かに言われたけれど、
泣き方なんてやっぱりわからなかったのだ。


いつの間にか震えは止まっていて、
気がつけば隣にはもう数年越しの付き合いにもなる相棒が寄り添っていた。
曇りの無い黒い瞳に、一人じゃないよと、言われた気がして。
いいやそれでも一人のままなんだよと、言おうとして、言えなくて、黙った。

道化師が見た終焉
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2009/11/23 18:45 | Comments(0) | TrackBack(0) | SS

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